動画編集の仕事の発注をするとき、
「動画編集の1本あたりの単価っていくらなんだろう?」
このような疑問に当たるかもしれませんね。
実際に動画編集の発注から受注までを経験している私が、動画編集の単価について解説します。
単価は動画の種類・クオリティ・尺 などによって数千円〜数百万円まで、かなりの振り幅があります。
また、人によって感覚が違いますし、時代によっても変わるでしょう。
こちらの情報は絶対ではありません。あくまで私個人の見解ですのでご了承ください。
オリト
映像撮影・動画編集・その他Web関係のデザインなどを仕事にしている、フリーランスのクリエイター。
企業のYouTubeチャンネルを立ち上げから担当し、
2年目で「売り上げを前年比200%以上にアップ」
「YouTubeからの年間売上1億円(粗利3000万円)」を実現した。
動画編集者やWebデザイナーへの発注の経験もあるため、
発注者と受注者、双方の立場を知ったうえで情報発信をしている。
動画編集の金額の相場(1本単価)
「動画編集の仕事」といっても、動画の種類は様々です。
例えば次のような動画があります。
- YouTubeチャンネルの動画
- TikTokのような、縦型のショート動画
- 広告用動画
- ミュージックビデオ
- 製品、サービスの紹介動画
- 会社案内の動画
- Web CM動画
- テレビCM動画
他にもまだまだあると思いますが、このように種類が多いため、種類ごとに説明します。
金額の一例
YouTubeチャンネルの動画の場合
現在ではYouTuber(ユーチューバー)だけでなく、企業もYouTubeチャンネルを持っていることが多いでしょう。
YouTubeチャンネルの動画編集の相場は以下の通りです。
【編集費用 一例】
・5〜15分程度、解説系、テロップあり:5,000円〜30,000円程度
・10〜30分程度、バラエティ系、派手な演出などが多め:10,000円〜50,000円程度
※あくまで一例です。これより高い場合もあります。
※動画の内容、編集クオリティ、修正回数、有料素材の有無、などにより大きく変化します。
また、これ以外にかかる費用として以下のようなものがあります。
・企画、構成、絵コンテ作り
・撮影費用(撮影機材、人件費、技術料、交通費など)
・チャンネル運用(動画のアップロード、タイトルや概要欄の文章設定など)
・サムネイル制作(動画のトップ画像)
動画編集作業以外のものをまとめて「ディレクション費用」と言ったりもします。
ディレクション費用と動画編集費用をまとめて提示している人(業者)もいれば、別々にしている人(業者)もいます。
私の個人的な感覚ですが、YouTube向け動画編集を1本5,000円くらいで受けてくれるクリエイターは、初心者レベルの方が多いです。
中には「クオリティが低い」「納得のいく仕上がりにならない」「急に連絡が取れなくなった」「クリエイターからの提案などが無く、言われたものをやるだけ」という場合もあります。
ちゃんと安心して頼みたいのであれば1本20,000円以上を目安にすると良いと思います。(編集費用のみ)
縦型ショート動画の場合(TikTokなど)
TikTok(ティックトック)、YouTube Shorts(ユーチューブ ショート)、Instagramのリール動画など、最近は縦型のショート動画が流行っていますね。
これらも発注することができますし、クリエイターの方々は仕事として受けることができます。
【編集費用 一例】
・60秒の動画:3,000円〜10,000円
(撮影、ディレクション費用などは別途)
※あくまで一例です。これより高い場合もあります。
※動画の内容、編集クオリティ、修正回数、有料素材の有無、などにより大きく変化します。
「数十秒の動画なんだから、500円とか1000円でやってくれないかな?」という発注者の方をたまに見かけます。
しかし、はっきりいってその価格ではできません。
たしかに納品されるものは”たった数十秒の動画”ですが、クリエイターは様々な作業と時間を要します。
- 受注して内容を確認
- 編集作業(数十分〜数時間)
- 確認作業、微調整
- 納品連絡、チェック待ち
- 修正があれば修正作業、納品
というふうに、様々な作業とコミュニケーションコストがかかります。
それを考えれば1,000円などという価格は現実的ではないでしょう。
また、クリエイターのレベル(技術力)や編集の手間によっても金額は大きく変わります。
製品、サービスの紹介動画の場合
企業の製品やサービスを紹介する動画もあります。
この場合は、おそらく撮影から編集までをまとめて受けることの方が多いと思われます。
【撮影+編集費用の一例】
完成尺3分程度の、製品・サービス紹介動画:150,000円〜1,000,000円程度
※あくまで一例です。これより高い場合もあります。
※動画の内容、編集クオリティ、修正回数、有料素材の有無、などにより大きく変化します。
こちらも非常に金額帯が広いです。
発注者は最初に予算を伝えておき、どのくらいのクオリティの制作物ができそうか確認しておくと良いでしょう。
また、何度も修正が出ないように事前に入念な打ち合わせが必要です。
丸投げしてしまうとお互いにとってよくない結果となります。
「このくらいのクオリティのものを作ってほしい」「こういう雰囲気の映像にしたい」
というイメージを撮影者や編集者に事前に提示しておくとスムーズにいくでしょう。
また、しっかりと見積書を出してもらうことで「言った・言わない」が起こらないようにしたほうがいいです。
YouTubeチャンネルのオープニング動画やエンドカードの制作の場合
YouTubeチャンネルの動画でよく見ると思いますが、オープニング動画や”エンドカード”と呼ばれるものが入っていることがあります。
(エンドカード:動画の最後に入れて、チャンネル登録やほかの動画への誘導をするための画像のこと)
こちらはYouTubeチャンネル動画の編集とは別の仕事として存在しています。
【制作費用の一例】
・オープニング映像(撮影無し、10秒程度):20,000円~100,000円程度
・エンドカード(静止画):5,000円~20,000円程度
※あくまで一例です。これより高い場合もあります。
※内容、クオリティ、修正回数、有料素材の有無、などにより大きく変化します。
エンドカードはできるだけ用意したほうがいいと思いますが、オープニング映像は用意していないチャンネルも多いです。
(「オープニング映像が煩わしい」と感じる視聴者も少なくありません。)
トラブル防止!発注する際の注意点
発注者としては、次のような希望があるでしょう。
- 安心して頼める、常識のあるクリエイターに頼みたい
- 費用はできるだけ抑えたい
- 制作できるクオリティと金額を事前に知りたい
- 発注から納品までの流れを知りたい
- 動画を使うことで、自社(もしくは自分)にどれだけの利益が見込めるか知りたい
- アドバイスや提案もしてくれるクリエイターに頼みたい
費用を安く抑えようとすると、クオリティが下がったり、常識の無いクリエイターに当たってしまったり、言われたことをただやるだけで気が利かないクリエイターに当たったりします。
やはりちゃんとした金額を出さないと、良いクリエイター・制作会社には出会えないでしょう。
クラウドソーシングサイトなどでは「1本 500円」「1本 2000円」という激安単価の仕事募集も見かけますが、そのような仕事には動画編集を始めたばかりの人しか応募しません。
低価格では仕事を投げ出す人も多いです。
良いクリエイター・制作会社に頼むためには次のような点を見ると良いでしょう。
- 制作実績が確認できる
- 電話やメール、チャットなどのやりとりで社会人としての常識があると感じられる
- 制作クオリティと金額を提示してくれる
- 一連の流れを説明してくれる
- 動画を制作する目的や発注者の希望など、細かい点までヒアリングしてくれる
- ただ言われたとおりに進めるのではなく、発注者の意図をくみ取って別の提案もしてくれる
こちらの項目すべてに当てはまる制作会社やクリエイターは、なかなかいないかもしれません。
しかし、これらを頭に入れておくとトラブルも減らせるはずです。
安い金額で仕事を発注するには?
「クリエイターに負担をかけずに、費用を抑えて発注したい!」
こういう方もいらっしゃるかもしれませんね。
次のような方法であれば、少し安く頼みやすいと思います。
- ”初心者可”にする
- 副業の人、学生、主婦でも可にする
- 実績として公開してもOKにする
- 実践的に学べる環境を整えてあげる
- 作業の負担を減らしてあげる
①と②についてですが、まだ経験が浅い人や副業としてやっている人、学生、主婦の方々は本業のクリエイターと比べると比較的安価に受けてくれる場合があります。
ただし、その分クオリティは下がる場合がありますし、本業でない場合は連絡が取れる時間帯も限られます。
③”実績として公開してもOKにする”
こちらは、発注した仕事を「オンライン上で実績として公開してもいいよ」と許可することです。
クリエイターは実績が大切なのですが、「公開は禁止」とされている仕事が非常に多いです。
「実績公開OK」というだけでもメリットに感じられる場合があります。
④”実践的に学べる環境を整えてあげる”
これは、「初心者のクリエイターも仕事として実践的に学べますよ。その代わり金額は少し低めです。」という発注の仕方です。
丁寧なマニュアルなどが用意できるのであれば、こういった発注方法も考えられます。
ディレクションが必要になるので、「全部任せたい」という人には不向きです。
⑤”作業の負担を減らしてあげる”
クリエイターとしての私の個人的な意見ですが、これは嬉しいポイントです。
例えば以下のようなことです。
- 動画素材があらかじめラフカット(不要な部分をざっくりカット)してある
- 完成動画のイメージを具体的に示してくれている
- マニュアルがとても丁寧
- 修正回数が少ない
このあたりの配慮があると、クリエイターも負担が少ないので助かるはずです。
こちらもディレクションが必要になります。
逆に、①~⑤のようなことができないのであれば、ちゃんとした報酬を渡すべきでしょう。
経費はいくらかかる?利益はどのくらい出る?
ここでは、YouTubeチャンネルの動画に限った話をします。
YouTubeチャンネルの運営や動画制作を発注するとして、月にいくらかかって、どのくらいの利益が見込めるでしょうか?
月々かかる経費
- 月に何本アップするか
- サムネイル制作も依頼するか
- 動画のクオリティや尺はどの程度か
- チャンネルの管理まで任せるか
- チャンネルの分析やリサーチも任せるか
このあたりで金額が変わります。
一例を見てみましょう。
【例1】
・月9〜10本を依頼(週2本程度)
・サムネイル制作も依頼する
・動画はカット編集、テロップ入れ、写真挿入など。難しい演出効果は無し。
・チャンネルの管理や分析などは自社で行う
↓
月 15万円〜30万円程度
サムネイル込みで1本あたり10,000円〜30,000円の計算です。
週2更新で15〜30万円くらいの費用を考えておけばよいかと思います。
ちなみに私が受けている仕事の実例ですと、
週4本編集(月に18本程度)で40万円いただいています。
どのくらい利益が出る?
「数十万円かかるのはわかったけど、どれだけ効果があるの?」
と思われる方もいらっしゃるでしょう。
これは大きく分けると、
・YouTuber(ユーチューバー)としての広告利益
・会社としての、本業の利益
このどちらかに分かれることが多いでしょう。
YouTuber(ユーチューバー)の収入
YouTuberとして再生回数を増やし、動画の広告で利益を作りたい場合は、動画の企画力や分析力によって天と地ほど差が出てしまいます。
私が実際に見た事例だと、
- 40万人登録者 → 月 数百万円
- 2000人登録者 → 月 約3万円
- 5000人登録者 → 月 4~5万円
という感じです。
月100万円の収入を得るにはチャンネル登録者数10~20万人くらいが目安になると言われています。
しかし、動画のジャンルによって視聴者に表示される広告内容が変わり、広告単価も変わってきます。
同じ登録者数でも稼ぎにくいジャンルと稼ぎやすいジャンルがあります。
また、YouTubeを運営しているGoogleがどのように広告単価の設定を変えてくるかはわかりません。
Googleの意向に大きく左右される収入となります。
会社の本業としての利益(本業サービスへ誘導)
私が経験した実例だと、とある会社の売り上げが前年比 210%となりました。
金額で言うと、月1,500万円のアップです。
ちなみにその売り上げを出した当時のチャンネル登録者数は2000人くらいでした。
YouTubeの広告収入は3万円くらいだったと思います。
これは、YouTubeチャンネルで自社サービスや業界の裏側について解説をして、視聴者を集め、会社を信用してくれた視聴者が本業のサービスへ問い合わせをしてくれるように誘導したものです。
どのように収益を上げたか、詳細については別の記事で紹介します。
(準備中です)
クラウドソーシングサイトでの発注は、やめたほうがいい?
クラウドワークス・ランサーズ・ココナラなど、有名なクラウドソーシングサイトでは、酷い安さの仕事を多く見かけます。
ほとんどが相場からかけ離れた安すぎる金額帯です。
発注者の方は、クラウドソーシングサイトを見て「これくらいが相場か」と思わないほうがいいでしょう。
そのため、私のまわりにいる実力と常識のあるクリエイターたちは、「クラウドソーシングサイトの仕事なんか受けない」と口をそろえて言います。
つまり、実力と常識のあるクリエイターはクラウドソーシングサイトにはあまりいない ということです。
まとめ
以上、動画を発注するポイントを解説しました。
まとめると次の通りです。
- 動画の内容や、依頼する範囲によって費用が大きく変わる。
- YouTube用の動画<10分尺、撮影依頼無し、運用依頼無し、解説系動画>
この内容で1本 20,000円以上かかることが多い。 - 安い金額で発注すると、初心者クリエイターが多く集まる。
- クラウドソーシングサイトの金額は安すぎるため、あまり参考にならない。
- 社会人としての常識があり、制作実績があり、提案内容が具体的なクリエイターに頼むと良い。
- 企業の場合、月々10万円~50万円ほどの出費は考えておいたほうがいい。
- YouTube経由での集客による売り上げアップが望める。
最後にもう一度お伝えしますが、こちらの記事はあくまで私個人の感覚で書いています。
制作費用は、制作物の内容・クリエイターのレベル・コミュニケーションコストなどにより大きく変わります。
発注者にとっても、受注者にとっても、より良いお仕事の流れができることを願っています。
このブログでは、具体的なYouTubeの運用方法についての
情報発信も行なっています。
実際に企業の利益につながった事例もございます。
ぜひご覧ください。